御祭神について


八重垣神社所蔵「稲田姫命像」壁画
八重垣神社所蔵「稲田姫命像」壁画

 森山社の祭神は「奇稲田姫命(クシイナダヒメノミコト)」です。
(日本神話に登場するこの女神は『日本書紀』では「奇稲田姫」『古事記』では「櫛名田比売」と表記されます)

 奇稲田姫命は出雲国(島根県)簸の川(斐伊川)の川上に住んでいたとされ、足名推命(アシナヅチノミコト)と手名推命(テナヅチノミコト)夫婦の八人娘の末娘として暮らしていました。
 毎年毎年、八岐大蛇がやってきて次々と娘たちを食べてしまい、最後に残った末娘の奇稲田姫命も食べられてしまう時期がきたので、老夫婦の両親は嘆き悲しんでいました。
 そこへ高天原を追放された「素盞嗚尊(スサノオノミコト)」が折よく現われ、ことの次第を聞き義侠心を燃え上がらせて八岐大蛇を退治しました。
(素盞嗚尊については別に記します)
(日本神話に登場するこの大蛇は『日本書紀』では「八岐大蛇」『古事記』では「八俣遠呂智」と表記されます)


 助けられた奇稲田姫命は素盞嗚尊と結婚して、出雲国に宮殿を造って住んだとされます。

*河川の氾濫を鎮めるための生贄として捧げられていた風習を治水によって解決したという解釈もある。「八岐大蛇退治」についてはいろいろ調べるとおもしろいです。


森山社境内神社


●境内には6つの神社が祀られていて、社殿に向って右側には以下の神社が建立されています。

神明神社(祠)

●御祭神:天照大神(アマテラスオオミカミ)(日本書紀)、天照大御神(古事記)

●御神格:太陽神、皇祖神、日本の総氏神

●御神徳:国家安泰、子孫繁栄

●御祭神:豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)

●御神格:食物神、穀物神

●御神徳:農業・漁業の守護、産業振興、開運招福、厄除け

地元では「だいじごさん(大神宮様)」と呼ばれる伊勢神宮の分社。

●由 緒:

創建時期不明、葉山町葉山郷土誌(昭和50年(1975)3月)記述の古老の伝によれば、大正初期(1912~1916)には御祭神が森山神社に合祀されていた。ご神体(石)碑?は明治13年(1880)に遷宮祭としてだいじごさん(大神宮山(一色1501番地付近))から深夜零時に安置したと伝わっている。 一方、神奈川県郷土誌(明治12年(1879))には、「神明社(一色字平松)、建物正面一間、奥行一間境内17坪、信徒七拾人、民有地第一種」と記述あり、拠って当地とは別地に存し、前記の時期に当社に合祀されたと思われる。 例年7月に「大神宮祭」を斎行し、氏子の崇敬を集めている。

稲荷大明神(祠)(京都伏見稲荷の分社)

●御祭神:倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)

●御神格:五穀豊穣の神、諸産業繁盛の神、屋敷・地域の神

●御神徳:五穀豊穣、産業振興、商売繁盛、家内安全、芸能上達、金運向上、諸願成就

 

由 緒

創建不詳、伝によれば一色上原地区を中心に活動していた講が、将来の衰退を危ぶみ、森山神社に合祀されて今日に至っていると言われている。稲荷神社の多くは旧家や辻々に建立しているのを散見することができ、その中で血縁者や地縁的関係者などの小集団で社の講中を行っていた。

境内西側に在する別祠稲倉神社も、一色打鯖・三ケ岡地区を中心とした講中で、当社と同様の縁起である。



●社殿に向って左側には以下の神社が建立されています。

浅間神社(舟型石碑)

●御祭神:神吾田津姫、神吾田鹿葦津姫、木花開耶姫(コノハナノサクヤビメ)(日本書紀)、神阿多都比売、木花之佐久夜毘売(古事記)

●御神格:火の神、山の神、安産の神、子育ての神、酒造の神

●御神徳:子授け、安産、縁結び、農業・漁業守護、航海安全、火難消除、織物業守護

浅間信仰・富士山信仰・山の神をまつる社。

 

由 緒

創建明治17年(1884)6月1日、一色在の富士(浅間神社)講中が建立、富士吉田市浅間神社には、「葉山町一色富士講中」と記された扁額を見ることができる。

神奈川県郷土資料(明治12年)には「浅間社、由緒不詳、建物正面三尺、奥行き三尺」の記載あり、また、葉山郷土誌(昭和5年)には「浅間神社」の記載がある。

なお、同様の石碑が後背の峰岡山山頂にも凝灰岩で出来た富士講の石塔(明治16(1883)年が祀ってある。

船玉神社(祠)

●御祭神:住吉三神(底筒男命(ソコツツノオノミコト)、中筒男命(ナカツツノオノミコト)、上筒男命(ウワツツノオノミコト))

●御神格:海の神、航海の神、和歌の神

●御神徳:海上安全、漁業・海運・貿易・造船などの業種守護、商売繁盛、開運招福(縁結び・子授かり)

金刀比羅社(船玉神社内)

●御祭神:金山毘古命(カナヤマヒコノカミ)

●御神格:鉱山の神、鍛冶の神、鉱物の神、包丁の神

●御神徳:鍛冶技術向上、金属加工業の守護、金運、商売繁盛、開運招福、災難避け、厄除け

漁業の守護神・商売繁盛・縁結び・子授かり

 

由 緒

創建不明、神奈川県郷土資料(明治12年)及び葉山郷土誌(昭和5年(1930))には「住吉神社(建物正面一間、奥行一間)」と、「金刀毘羅神社(建物正面三尺、奥行三尺)」と二社の記載がある。現在の祠は、昭和43年(1968)11月一色氏子会(連名)、一色漁業正組合員(連)により改築された。



■稲倉魂社(祠)

●御祭神:稲荷神(倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)(日本書紀)・宇迦之御魂神(古事記))

●御神格:五穀豊穣の神、諸産業繁盛の神

●御神徳:五穀豊穣、産業振興、商売繁盛、家内安全、芸能上達

田の神、五穀豊穣の神、諸産業繁盛の神

 

由 緒

創建時期不明、祠内に「正一位稲倉魂命天長地久常堅右明治二己巳年(一八六九)十二月鈴木源致」と木札あり、この時期に建立されたものと思われる。神奈川県郷土誌(明治12年(1879))に、「稲荷社祭神稲倉魂命、由緒不詳、建物正面三尺奥行三尺、氏子百六拾弐戸」とあり、また、葉山町郷土史(昭和5年)に「祭神稲倉魂命、由緒不詳、建坪二合五勺」とある。

古老によれば一色打鯖地区から移設されたの伝有。 平成30年(2018)、講を解散するに当たり、新たな祠を隣地玉蔵院に建立、既存の社を廃社としたが社屋のみ残されている。

境内北側に在する稲荷大明神も、上原地区を中心とした講中で、当社と同様の縁起である。

厄神社(大国主社)(祠)

●御祭神:大地主命(オオトコヌシノミコト)・大物主神(オオモノヌシノカミ)

●御神格:国造りの神、農業神、商業神、医療神、縁結びの神、土地の神、家・屋敷を守る神 ●御神徳:縁結び、子授かり、夫婦和合、五穀豊穣、病気平癒、産業開発、交通・航海守護、商売繁盛

国内平定・天下泰平・農業保護・医薬の神

 

由 緒

創建不詳、祠内に残された木札が存し、表面に「天下泰平 奉 厄神社 御造營神璽 崇敬者安全 社掌 守屋喜代太郎」、裏面に「大正8年1月14日 一色崇敬者中」の記載がある事から往時の建物か?

伝によれば三ケ岡町内から氏子廃絶により移されたといわれている。

神奈川県郷土資料(明治12年(1879))に「大国主神社、祭神・大地主命、由緒不詳、建物・正面三尺奥行三尺」の記載あり、また、葉山町郷土史(昭和5年(1930)には「大国主社、祭神・大地主命、由緒・ 不詳、建坪・二合五勺」の記載がある。